この仕事に意味はあるのかと思ったことがある人に知ってほしい「暗黙知という考え方」
こんにちは。
yooです。
今日は「暗黙知」について書きます。
「暗黙知」はポラニーという方が提唱した概念で、人が無意識のうちに体得しているスキルや知識を総称した言葉です。
なぜ「暗黙知」に関して書こうと思ったかというと、
日本は暗黙知大国だからです。
「日本の察する文化」や「仕事は盗むもの」という考え方に「暗黙知の要素」が詰まっています。
そのせいか日本では組織内のミスコミュニケーションが頻発していて、生産的な組織になり得ていない現状があると感じていることが今日のテーマを書く理由です。
■ほとんどの人は「組織内で善とされている文化の背景」を言語化できない
日本国内には現在316万社の法人があります。
※参照 〜第145回国税庁統計年報 令和元年度版〜
会社それぞれに文化があると仮定すると、316万通りの文化のパターンがあるということになります。
ここで皆さんに質問です。
自分の属している組織で善とされている文化(組織が大事にしている価値観のようなもの)を他の組織の方に説明してくださいと言われて説明できますか?
おそらくですが完璧に説明できるという方はそう多くないと思います。
なぜなら組織の文化には「暗黙知」が言語化できないレベルで介入しており、言葉ではどうしても説明に事欠いてしまうからです。
だから企業の就職活動では、資料だけでなく実際の雰囲気を理解するツールとして説明会やインターンがあり、面接があるのだと思います。
「暗黙知」は「言語化できないから企業の持つ特有の財産」になり得ます。
その組織の構成員にしか共有できないから暗黙知の価値があります。
■「こうしておけばいいという指示」に対して、なぜそれがいいのか理屈や原則を説明できますか?
会社でよくある光景に上司から部下への指示が伝わらないというものがあると思います。その逆も然りです。
伝わらないのは「こうしておけ」の理屈を誰も説明できないから。
(こうしておけ、は暗黙知であり本当の意味での理屈=因果関係を誰も理解しないまま組織内で空気感のように存在しているのです。)
これで伝わるのは「世渡り上手の人材だけ」でしょう。本当は部下は指示内容を理解していないが、暗黙の中で組織の文化的な正解を導きコミュニケーションを無理やり成立させているというのが実情だと思います。
つまり、「察する文化」によってコミュニケーションを行なっているということです。
だから日本ではコミュニケーションにおいて「察する人材」や「忖度する人材」が重宝されるのだと思います。
(文化におけるコンテクスト性が関連する。欧米はローコンテクスト、アジアはハイコンテクストと言われている。※コンテクスト=文脈性)
これが起こるのは以下の要因があるからと推測される。
①暗黙のうちに正しいとされる行動様式が組織内で共有されている
②組織内で成功パターンのようなものが確立されており、それを暗黙のうちに模範にしている
この2点が前提になり「組織内の善的価値観」が形成されている。
仮に、上司→部下のコミュニケーションに
上司:こうしておけ(組織内の善的価値、誰も正しく説明できないもの)
部下:はい(口では肯定しているが、なぜこれをするのか?という疑問を察するコミュニケーションによって測っている。)
という場面があったとして、
その組織内で暗黙のうちに共有されている正解を人に伝えることができなければコミュニケーションは「ふわっとした空気感を察する」しか方法がなくなります。
なぜなら「厳密に定義がない」なら「組織内で共有されている善的価値観に従う」しか円滑に物事を運ぶ方法がないからです。
何が言いたいかというと、日本では「暗黙のうちに共有された正解そのものの概念」を
ほとんどの人が説明できない現状があるということなんです。
これは組織の軋轢になり、日本社会全体にマイナスになり得る問題だと思います。
■あなたの「なんで?」に会社を成長させるヒントがある
人であればコミュニケーションは円滑にしたいと思うのが当然でしょう。
ただ現実はそんなに上手くいかない。
「なんで?」と感じる時こそ「暗黙知」を思い出してほしい。
組織におけるミスコミュニケーションは「暗黙知の伝達不足」が引き起こしている可能性があるからだ。
ミスコミュニケーションが双方の間で起こる時「なんで?」が生じる。
【ミスコミュニケーション:疑問の2パターン】
・経営側の疑問
→なんで指示に従わないのか、これが成功してきたパターンだから言っているのになぜ指示に従わないのか疑問がある。
・従業員側の疑問
→指示内容の背景が分からない。なぜその指示が問題の解決につながるのか論理的な因果関係を説明してくれない疑問がある。
【ミスコミュニケーション:解決の2パターン】
・経営側の解決法
→会社や組織が積み上げてきた知見(暗黙知)を対外的、客観的に言い換えて説明することで伝達が円滑になります。「自分たちがなぜこの指示をしているのか」を視点と視座を上げて説明することが解決になる。
・従業員側の解決法
→指示内容には必ず意味と背景があるので、なぜその指示内容なのか自分の観点ではなく組織の観点から考えてみて下さい。そこに会社が築き上げてきた知見(暗黙知)が詰まっています。
ミスコミュニケーションを感じる場面で「暗黙知」を思い出すことで組織は今よりも円滑になると思います。
あなたの組織でコミュニケーションでの疑問があれば、相手の暗黙知に対して想像力を働かせてみて下さい。